【完】ヒミツの恋を君と。
さっきまであった、晴のものがすべてなくなったリビング。


その空間に、静かに金魚の水槽のモーターの音だけが響いている。


仲良く泳いでる2匹の金魚。



そんな光景を目にしてると、鼻の奥がツンとして、目に涙が浮かんできた。




涙と共に浮かんでくるのは、寂しいという感情。


晴のいないこの部屋は、どうしようもなく寂しいよ。





「同居、終わっちゃったね…」





金魚の水槽の前にぺたんと座ってそう呟いた。


2学期になれば、すぐ、大学の指定校の結果が出る。

そして、冬になる頃には3年生は学校に来なくていい日が増える。



晴はきっと大学に合格して、ここからいなくなる。


それが晴の幸せで、平穏で……。



わかってる。

わかってるけど…。



これからどんどん晴とあたしの距離は遠くなっていくんだね。



もしかしたら、晴が東京に行ったら、もう2度と会えなくなるってこともあるのかな?



頬をこぼれていく涙。


この感情はどうコントロールすればいいのかな?




さっき離れたばかりなのに、もうすでに、会いたくて会いたくてしょうがなかった。






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