【完】ヒミツの恋を君と。
どうしよう。

そう思って表情を歪めてしまった時。

それに気付いたのか、晴がさっきよりも顔を近付けてきた。





「ふーん、生意気な口聞くんだな?塞いでやろうか?」





再び、いや、さっき以上に盛り上がる店内。


ぎりぎりまで近付いた晴との距離。

この間、寝ている晴にキスしたシーンを思い出して、胸が思いっきり跳ねた。



…そして、頭を過ぎった美月先輩の言葉。



『晴くん、その時キスしてくれたの……』



胸の痛みと共に、カァーっと頭に血が上った。





「離してってば!」





晴の胸をドンと押したあたしを見て、お客さんが全員、きょとんとした顔をしてる。



「あ、ご、ごめん!」



バツが悪くて、慌てて晴の前から離れた。


その後の店内のどうしようもない空気は、トウヤさんの「モカの照れ屋さんー!」が和ませてくれた。




晴がせっかくフォローをしてくれようとしたのに。



あたし、しっかりしなきゃ。

ことあるごとに美月先輩を思い出して、心乱して。



晴への想いはあたしの勝手なものなのに。

こんな独りよがりなヤキモチはみっともないだけなのに。



そんな風に思いながらも、あたしは自分を上手くコントロール出来ないでいた。



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