【完】ヒミツの恋を君と。
* * *



バイトの帰り道。


昼間、晴と気まずい雰囲気になったけど、なんとか持ち直していた。



トウヤさんが閉店後に言った言葉のおかげかも。


その言葉で、男性陣は妙に納得したみたいで。




『モカは今日、女の子の日でイライラしてるんだよねー?』




あたしがあの時怒った事情を詮索されることはなかった。



今日は女の子の日じゃないし、正直恥ずかしかったけど、


でも、そういうことにしといてもらった方がありがたいから黙っておいた。



本当の理由なんて言えないもん。




秋の夜は結構、風が冷たくて。

半袖の制服では少し寒く感じた。



晴に何を話そうか迷っていると、晴の方が先に口を開く。




「お前さ、球技大会の日、屋上に来た?」




不意打ちのような質問にドキッと心臓が跳ねた。


もしかして、あの時のキスがバレてる?




「いっ、行ってない!!」


「そ?」




晴は、あたしの言葉に疑問を抱いてる様子はないみたいだけど、なんでそんなこと急に言い出すの?


それ以上、きわどい質問をされないように、今度はあたしから話し出す。




「は、晴は屋上でサボってたんだ?ダ、ダメなんだー!」




上ずった、変な喋り方になってるのは、気付かれませんように。


気付けばもう家の前まで着いていたあたし達。


晴が、足を止めてこっちを見た。






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