【完】ヒミツの恋を君と。
「あのさ、東京の大学のことなんだけど…」


「え…」





晴が真剣な顔をするから、心臓が嫌な音を立て始める。

今から、美月先輩とのこと話すんだ?


そう感じて、この場から逃げたくなったけど、足が動かない。



ピリリーピリリー



そんなあたしを我に返らせたのは携帯の着信音だった。

それはあたしの携帯で。





「あ、ご、ごめん。春ちゃんかも、夜電話するってメール入ってたから」


「……分かった。今の話の続きは、また今度」


「う、うん。じゃあ月曜日学校でね!」





晴にそういい残して、あたしはマンションの入り口に飛び込んだ。



その頃には、ポケットの中に入ってる携帯の着信音は消えていたけど、もう一度晴のところに戻って、話を聞く気にはなれなかった。

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