【完】ヒミツの恋を君と。
《わかんない?河野って言ったら分かる?》
「え?」
河野?
思わず手すりに掴まって下を覗き込んだ。
見えるのはさっき晴と別れた場所。
晴はいつもあたしが部屋に入るまで見届けてくれるから。
「……」
でも、晴はこっちを見上げて、変な場所で立ち止まってるあたしを見て不思議そうな顔をしてるだけで。
もちろんその手には携帯なんて持ってなくて…。
背筋に冷たい汗が伝って一気に体温を奪っていく。
もしかして…?
《河野祐樹って言ったら分かるかな?》
クスクス笑う声と共に聞こえてきたその名前。
怖くて足が震えてたけど、あたしは部屋の前まで走って行ってから、思いっきり笑顔を作って晴に手を振った。
そんなことをしたのは、春ちゃんと電話しながら歩いてるんだと、晴に勘違いさせるためで。
絶対に、電話の相手を悟らせないため。
「え?」
河野?
思わず手すりに掴まって下を覗き込んだ。
見えるのはさっき晴と別れた場所。
晴はいつもあたしが部屋に入るまで見届けてくれるから。
「……」
でも、晴はこっちを見上げて、変な場所で立ち止まってるあたしを見て不思議そうな顔をしてるだけで。
もちろんその手には携帯なんて持ってなくて…。
背筋に冷たい汗が伝って一気に体温を奪っていく。
もしかして…?
《河野祐樹って言ったら分かるかな?》
クスクス笑う声と共に聞こえてきたその名前。
怖くて足が震えてたけど、あたしは部屋の前まで走って行ってから、思いっきり笑顔を作って晴に手を振った。
そんなことをしたのは、春ちゃんと電話しながら歩いてるんだと、晴に勘違いさせるためで。
絶対に、電話の相手を悟らせないため。