【完】ヒミツの恋を君と。
もう無理だ…この人には敵わない。

多分、お願いしたって聞いてくれないと思う。



あたしの場合、先生にバラされても自業自得。

退学になっても自業自得。



でも晴は、祐樹先輩のせいで働かないといけなくなったんじゃない?

祐樹先輩のことを思って、自分の力で家を出ようとしてるのに!



どうしても、晴だけは助けたい。

その一心であたしは、祐樹先輩に頭を下げていた。





「お願いします。あたしの写真は送ってもらってもいいです。でも、晴の写真だけは、送らないで下さい」





この人に頭を下げるなんて絶対イヤだと思ったけど、もう、これしか思いつかない。


あたしは、自分の足先を見つめながら、絶対“無理”って言われるんじゃないかって思ってたけど、その返事は違っていた。




「いいよ。桃佳ちゃんがそこまで言うなら、晴の写真は送らないでいてあげる」





そう言って、祐樹先輩はあたしに、晴の写真を全部手渡した。

それは拍子抜けするほどあっさりしたものだった。



あたしは急いで写真を制服のポケットにしまった。



良かった。

これで晴の指定校推薦は無事。


ホッと息を吐き出したあたしに向かって祐樹先輩は首を傾げた。





「でも、やっぱりわからないな?」


「え?」


「自分のものでもないのに、どうしてそんなに晴を守ろうとするの?そんなことしても、晴は振り向いてくれないよ?」


「…そんなの、ただ、晴のことが大事だからです」





あたしは晴が大好きで、そして誰よりも大事。

自分よりも大事。



それだけ。

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