【完】ヒミツの恋を君と。
「晴も、いつもあたしのこと守ってくれる。嬉しいとか、楽しいとか、そういう感情をいつもあたしにくれるから」





バイトして、強くなろうって思った時だって、春のことでくじけそうになった時だって、
あたしが困った時はいつだって、助けてくれた。


それに、自分が殴られてたあの時だって、自分のことよりも、あたしが祐樹先輩に顔を見られてないか心配してくれた。

あの時、晴が言ってくれた言葉。




『お前に何かあったら、俺は絶対自分を許せない』




晴、あたしもそうなの。

晴に何かあったら、あたしは絶対自分を許せない。




あたしの晴に対する想いと、

晴のあたしに対する想いは、違ったけど、

あたし達の間には、間違いなく絆は存在してる。


恋だの愛だのそんなんじゃないけど、人間としての絆。





「晴の思う幸せを掴んで欲しい。もう寂しい目はしないで欲しい。好きだから、幸せになって欲しい」


「……」


「そんな、単純な理由です…」





あたしとは重なり合わない幸せであっても、晴には幸せになって欲しい。



そう思う、本心からそう思うのに、

胸が、つぶれそうなほど痛いのは、まだ期待してるからかな?




抱きしめてくれた温もりも、

優しく触れたキスも、

素肌を熱くさせた指先の熱も、

本物だったと思いたいからかな?





バカだな…あたし。



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