【完】ヒミツの恋を君と。
扉の前で数分待った後、階段の下から足音が聞こえてきた。


まだ、姿は見えないけど分かる。

足音だけで分かるあたしってすごいかも!



リズミカルには程遠い、なんかだるそうにペタペタ歩く音、この歩き方は晴。

これは晴の足音。



半階下まで上ってきた晴があたしの姿を見て驚いた表情を見せる。



「…今日、早ぇな」


「うん、昨日早く寝すぎて早起きしちゃったの」



嘘吐いちゃった。



「……ふーん」



晴が覗き込む様にあたしの顔をジッと見つめてくる。


あたしは、何とか笑顔を作って、いつもと同じように振る舞った。



晴は何とか納得してくれたみたいで、屋上の鍵を開け始める。


少し体をかがめた時、ふわっと晴の香りがした。

いつも、近付くたびに感じてた晴の香り。



それに、胸がギュッと締まった。



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