【完】ヒミツの恋を君と。
「それに、晴と祐樹先輩は兄弟でしょ?やられたら、やり返せばいい」


「……」


「あたしとお兄ちゃんの喧嘩なんてすごいよ。あたしお兄ちゃんにクッション投げつけたりするもん」





晴の目が困惑したように揺れる。

もしかして、こんなこと言いだした私に怒った?



それにあたし、お兄ちゃんのことまで出してきて、何言ってんのかわからなくなってきた。


そう、一番、晴に言いたいのは…





「晴はもっと自分のこと大切にしてよ」


「……」


「嫌なことは嫌って言ってよ」


「……」


「そうやって、晴には自分自身を大切にして、幸せになって欲しいの」


「……」





美月先輩との幸せが晴の幸せなら、祐樹先輩には負けないで。



晴があたしのことを見つめてる。

あたしも晴のことを見つめてる。





「あたし、好きな人には幸せになって欲しいって思……」





そこまで口にして、顔が勢いよく熱くなるのを感じた。



あたし今、思わず好きって……!


そう気付いた途端に晴の顔も見れなくなって。





「ち、違うよっ!好きっていうのはそういう好きじゃなくて。とっ、友達として好きってことだよ?」





必死で否定したのは「ごめん」なんて言われたら立ち直れないと思ったから。





「あ、あたし日直だった!もう行かなきゃ!」





日直なんて嘘だけど。


完全に浮き足立ってるあたしを見て晴はどう思ってるんだろう?

考えれば考えるほど、晴の顔が見れなかった。



バッグを掴んで、勢いよく立ち上がった時。

座った姿勢のままの晴に手首を掴まれて、思わず晴を見つめてしまう。


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