【完】ヒミツの恋を君と。
真剣な目があたしを見上げてる。




「明日、俺の決めたこと全部話すから、きちんと聞いて欲しい」


「……」


「桃佳に全部聞いて欲しい」




一瞬、返事することも、頷くことも、出来なかった。

あたしを見つめるその目から、少しも目を反らせたくないって思ってしまったから。


なんでそんな風に思ったのかわからないけど。



晴が何を言いたいのかは分かってる。


美月先輩のこと…。


あの綺麗な笑顔を思い出して、胸がギュッと収縮した。




「…うん」




やっとの思いで頷けば、晴が痛いくらいに掴んでた手首を解放してくれる。



屋上の出入り口に向かいながら、手首がジンジンするのを感じてた。


その力の強さが、晴の決意の強さを表してる。



そう思うと、またジワッと込み上げてくる涙。

2日間、枯れるほど泣いたのに、まだあたし泣けるんだ?



こんな顔で振り向くことが出来なくて、後ろ手に屋上の扉を閉めた。

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