【完】ヒミツの恋を君と。
真木先生の持ってる封筒は、すでに封が切られている。


そして、その封筒は、間違いなくあの日、祐樹先輩が持ってたものだった。





「あ、吉丘さん。差出人があなたからの封筒が届いて、中を見て驚いてるんだけど…」


「え?」




真木先生があたしにあの封筒の裏を見せる。


そこには“2-2 吉丘桃佳”って書いてあった。



あの日の夜は、表面の宛名しか見せられてなかったけど。

差出人あたしって?

祐樹先輩が書いたものなんだろうけど、何考えてるのかな?


あたしが、あたしの校則違反を自己報告してる形にするなんて。


退学だけじゃ飽き足らなくて、あたしを変な子にまで仕立て上げるつもり?


もう、ここまで来たら望むところ。




「これを送ってきたのは本当にあなたですか?」


「あ、はい…」


「中身の写真とか、報告書とか、これは本当なんですか?」





そう聞かれて一瞬言葉に詰まった。

でも、もう心は決まってる。

あたしは静かに口を開いた。





「……はい、本当です」





真木先生と、藤本先生が2人そろって、深い溜息を吐いてから頭を抱える。




終わった──


でも、これで良かったんだよ。

これで、晴は助かった。



真木先生が顔を上げてあたしを見る。





「そうですか…写真と本人の雰囲気が全然違うし、とにかく真面目な生徒だから、何かの間違いであって欲しいと思ったんですが…」


「…本当に、すみませんでした」



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