【完】ヒミツの恋を君と。
「あぁ…河野くん、今から呼び出そうと思ってたところだったんですが…」


「…はい」





真木先生の言葉に、晴は難しい顔をしたまま返事した。


それはまるで、呼び出されるのがわかってたかの様な返事で。


わからなかったのはあたしの方で。

混乱したのはあたしの方で。


でも、そんなあたしを置いて、先生達は晴の方だけに視線を向けている。


咎(とが)められるのはあたしのはずなのに?


嫌な予感がする──





「河野!これ見てみろ」





そう言って、藤本先生が封筒の中から写真と報告書と書かれた紙を出す。


それはあの日、祐樹先輩に見せられた写真と報告書……。



え……。


あまりの衝撃にあたしは言葉を失ってた。

目の前に並べられた写真も報告書もあたしの物じゃない!



なんで?なんでこんなことに?



指先がカタカタ震え出す。



目の前にある写真は全部、バイト中の晴のもので、報告書も“晴”と“ハル”が同一人物と証明するものになっていた。





「これ本当にお前なのか?」





藤本先生が晴に聞く。


晴、お願い違うって言って!

藤本先生は同一人物とは思えないって顔をしてる。

切り抜けれるはずだから。


それなのに、それなのに、晴は…





「はい、本当です」





簡単に認めてしまった。


晴を見上げる。

どうして!どうして認めちゃうの?





「河野!お前はこんな時期に…何やってんだ!」


「すみませんでした」





声を荒げた藤本先生に、晴は静かに頭を下げる。



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