【完】ヒミツの恋を君と。
藤本先生が、乱暴に封筒を机に叩きつけた。


顔を上げた晴が、それをジッと見つめる。

裏向きに置かれたその封筒、そこにはあたしの名前が書いてあって、





「あ…」





今、すべてわかった気がする。

震える手で震える口元を押さえる。



今……祐樹先輩の企みが全部わかってしまった。





「ちょっと、藤本先生…」





真木先生が封筒を表に向けながら、藤本先生を戒(いまし)める。


藤本先生は自分の失敗に気付いたみたいで、真木先生に「すみません」と頭を下げた。





「河野くん、もう誰からこの話が出たのか気付いてしまったと思うけど、彼女を恨むのは間違ってますよ。わかってますね?」


「はい、わかってます」





先生の言った『恨む』って言葉に、体がビクッと反応した。


そんな、あたしを見て、真木先生は「大丈夫よ」って小声で言葉を掛けてくれるけど、



違う……違うよ。



先生達はあたしが、晴の校則違反を告げ口したって思ってる。

あたしが今、晴の仕返しが怖くて怯えてるって思ってる。



違う…違うのに!



……もしかして、晴もそう思ってる?



心臓が嫌な音を立てて暴れ始める。


晴にそう思われてるのかと思うと、余計に体が震えてく。

体が冷えていく。



あたし、今頃気付いた。


祐樹先輩に、はめられたんだ…。




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