【完】ヒミツの恋を君と。
「え!?」



それを見て、思わず声を漏らしてしまった。


2枚目の報告書には、あたしと晴が、うちの家に入っていく様子が何枚かの写真で映しだされてて。


写真の晴もあたしも浴衣を着ている。

あの夏祭りの帰りの写真。





「これは、ワンルームマンションみたいだですけど、まさかこの女性はうちの生徒じゃないでしょうね?」





真木先生の言葉にハッと我に返った。

先生達、女の方があたしだって気付いてないんだ?


この報告書の写真は晴の顔ははっきり映ってるものばかり。

だけど、あたしの顔は晴に隠れて体しか見えてなかったり、頭だけだったり。




これもきっと祐樹先輩の策略。

そう思うとたまらなくなって。





「そ、それは、あた……」





“それはあたしです!”そう言おうとしたのに…。


でも、その声は晴によってかき消されてしまった。





「その人は社会人の女性です。少しの間、一緒に暮らしていたのは本当です」





晴が嘘を吐いた。




その嘘に驚いて晴を見上げるけど、晴はあたしを見てはくれない。





「河野、お前は指定校推薦の校内選考からは外すから。そのつもりでいろ」


「すみませんでした」





頭を下げた晴を見て、頭が真っ白になる。


晴の指定校が…

あたしだ、あたしのせいで…





「河野くんは校長室で待ってなさい。今からおうちに連絡しますから、親御さんがいらっしゃってから、これからのお話しをしましょう」


「はい、失礼します…」





晴は真木先生にも頭を下げてから、職員室の扉に向かって歩を進める。


晴が職員室から出て行って姿が見えなくなってから、あたしはハッと我に返って、晴を追いかけた。



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