【完】ヒミツの恋を君と。
絶対に許さない。

祐樹先輩も、そして、あたし自身も。


今までの人生で感じたことのない怒りが込み上げてくる。




でもその前に、あたしはもう一人謝らないといけない人がいる。


晴はもう、謝っても聞いてくれないかもしれない。

だからこそ、この人だけにはしっかり謝らないといけないと思う。



あたしはベッドから起き上がって、ポケットの中に手を突っ込んだ。



その中から取り出したのは、携帯と…。

あの日以来、いつもポケットの中に入れていた花柄のメモ用紙。



美月先輩の電話番号──



そこに書いてある数字を見つめながら思った。



今、美月先輩の声は聞きたくない。



近い将来、美月先輩はあたしが欲しくてたまらない、晴との未来を手に入れる。


あたしが手に入れられないものを、手に入れられる位置にいる美月先輩に、あたしは…焦げるほどの嫉妬を感じてる。



今から美月先輩に伝える言葉はきっと美月先輩の背中を押す。


きっと、もっと2人は強い絆で結ばれる。




…だから、覚悟を決めなきゃならない。


美月先輩にきちんと伝える覚悟。

晴とさよならする覚悟──




その覚悟は思ってた以上にきつくて、涙がジワッと浮かんでくる。


それを零さないように深呼吸をしてから、番号を押す。




呼び出しコールはすぐに流れ始めた。


その音に呼応するように、心臓の音が大きく強く鳴り響く。



何度かのコールの後に出てきたのは、




《…はい?》




少し警戒するような声。



< 431 / 499 >

この作品をシェア

pagetop