【完】ヒミツの恋を君と。
多分それは知らない電話からかかってきたから。



「こんにちは、吉丘桃佳です」


《え…吉丘さん?》





少し困惑したような声に、晴のこともう知ってるのかも知れないって思った。

もう、きっと晴に聞いてるよね?


そう思うと胸がチクチク痛む。




「すみませんでした…」


《え?》


「晴の指定校推薦のこと」


《えっと?…晴くん今日途中からいなくなったけど、それと関係あるの?》




美月先輩はまだ何も知らないみたいで。




「晴のバイトがバレて停学になりました。指定校もダメになって…あたしのせいで…」




途中で途切れてしまう言葉。

今は泣いたらダメなんだって思うけど、声は掠れてしまう。


電話の向こうの美月先輩は黙ったままだった。



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