【完】ヒミツの恋を君と。
一瞬、その言葉に心を折られそうになったけど、ここで負けるわけにはいかないから。





「そうですね。ある意味、祐樹先輩とあたしは仲間だと思います」


「やっと認めた?」


「“晴の心を欲してる仲間”だと思います」


「……」





そう、祐樹先輩もあたしも、どうしようもなく晴の心が欲しいと願ってる2人。


あたしの言葉に、祐樹先輩の目の色が明らかに変わった。




「図星ですよね?」


「……」


「祐樹先輩のその目は“冷たい目”じゃなくて、“寂しい目”だったんですね」





祐樹先輩は晴のことが嫌いなんだって思い込んでた。


でもさっき美月先輩から話を聞いて、あたしのその考えは間違いなんじゃないかって気付いた。


きっと祐樹先輩は今でも、“本当の友達は晴だけだ”って思ってるはず。




「なに言ってんの?」


「…っ!?」





あたしのアゴを掴む祐樹先輩の指先の力が強くなるのを感じた。

その色をなくした目に睨まれて思わず一歩後退する。





「桃佳ちゃんを仲間に入れたら、晴のダメージになると思ったんだけど、やっぱ、計画変更にする」


「……」


「美月にしたのと同じ方法で、晴を悲しませるのも悪くないかも…ね」


「え…」





あたしが後退すれば、祐樹先輩も、またその距離を縮めてくる。


“美月先輩と同じ方法”って?


もしかして…!



美月先輩から聞いた言葉が頭を過ぎる。





『祐樹くんとそういう関係を……持ってしまったの』





背筋を冷たい汗が伝った。


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