【完】ヒミツの恋を君と。
「晴に今までのこと謝って下さい。そして本当のことを言って下さい」


「…なんで俺が謝るの?…それに本当のことってなんだよ?」





痛い…

足はかなり痛めたみたいで立ってるのもやっと。


ふらつく足をなんとか支えて、口を開いた。





「晴のこと唯一の友達だって思ってるくせに!」


「は?晴のことムカつくって言っただろ?まだわかんねぇの?嫌いなんだよあいつのこと!」


「でも!前は好きだったんですよね?いつも一緒にいるくらい仲良かったんですよね!一度心を許して、大切だって思った友達のことはそう簡単には嫌いになれないと思います」


「はっ…分かったようなこと言わないで欲しいよね」





ううん、あたし分かるんです。

春と春ちゃんのことがそうだったから。



春が春ちゃんのこと“好き”って知ったとき、2人のこと嫌いになれれば楽だったのかもしれない。


でも、逃げたって、逃げたって、嫌いになんてなれなかった。

だから、あたしは苦しかった。




「祐樹先輩と晴の間に、どんなことがあったのか細かいことは知らないけど、美月先輩のことや、晴のお父さんのことぐらいでは簡単に嫌いになれないと思います」


「……」





祐樹先輩のお父さんから、晴のお父さんがお金を脅し取ろうとした一件。


それから、祐樹先輩は晴にあんな態度を取る様になったって晴から聞いた。



でも、それってよく考えたら変だと思う。



もしもあたしが祐樹先輩の立場なら、あたしの怒りは間違いなく晴のお父さんに向く。


晴に怒りをぶつけることなんてない。

逆に、そんなことがあって落ち込む晴を心配すると思う。



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