【完】ヒミツの恋を君と。
負けられない。





「嫌いというなら、どうして晴の東京行きの邪魔をするようなことをしたんですか?」


「……」


「あたしはこの間まで、祐樹先輩は晴のこと嫌いだから、晴を陥(おとしい)れたんだと思ってたけど、よく考えたらこの行動はおかしいです」


「…なにが?」


「あたしだったら、本気で嫌いな人が遠くに行くって知ったら、正直ホッとする。だから、それを妨害するメリットが思いつかない」


「……美月から、晴と2人で東京に行くって話し聞かされただろ?だから、妨害してやろうと思ったんだよ」





目線を逸らしてそういった祐樹先輩。

もっともらしい理由だけど、でもその理由も変だと思う。





「美月先輩は一般で大学を受ける予定にしてたんですよね?なら、今、晴を妨害しても意味が無い。一般で2人で東京の大学受ければいいだけだし、晴がこっちの大学に変更するなら、美月先輩もこっちの大学に変更できますよね?」





美月先輩が元々一般なら、祐樹先輩が晴の指定校を妨害する意味が分からない。




祐樹先輩は目線を逸らせたまま何にも話さない。

祐樹先輩は賢い人だと思うけど、言ってることと、やってることはめちゃくちゃ。


それは多分、心の中が混乱してるからじゃないかな?



あたしが、春と春ちゃんのことで苦しかったように、祐樹先輩も、何かに苦しんでるんじゃないの?



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