【完】ヒミツの恋を君と。
晴もあたしのこと“友達”だって思ってくれてるかな?


大切な友達まではいかなくても、普通の友達くらいに思ってくれてたらいいなぁ。





「ふーん、友達…ね」





意味有り気にそう言いながら、店長はあたしと晴を交互に見つめた。





「へぇ、なかなかおもしろいよな。無銭飲食ちゃんは」


「あの無銭飲食はしてませんから…えぇっと……あたしの名前は吉丘桃佳です。晴よりひとつ下の、こ、高2です…」





無銭飲食っていうぬれぎぬなニックネームはもういやで名前を伝えたけど、イケメン慣れしてないあたしは自己紹介ですらしどろもどろになってしまう。


さっき晴のことを『友達』だと店長に言った時にはあんなに堂々と出来たのに…。




「桃佳ちゃんか、可愛い名前だね」


「あ、ありがとうございます…」


「桃佳ちゃんって、友達あんまりいないし、男と付き合ったこともないでしょ?」


「!?」





ガーン ガーン ガーン

当たってるだけに、ショックで声も出なかった。



こんな初対面に近い人にそんなこと言い当てられるなんて、あたしはよっぽど幸薄そうな顔をしてるってこと!?



落ち込んでる間に、店長があたしのまん前に立っていて、





「図星?桃佳ちゃんはいちいち仕草が可愛いね」


「へぇっっ!?」





気が付けば、店長の人差し指があたしの顎を持ち上げて上を向かせていた。


超至近距離でアラサーイケメンと目が合う……。

< 46 / 499 >

この作品をシェア

pagetop