【完】ヒミツの恋を君と。
「え…」





あたしの顔が見たかった?


あたしの頬はきっと真っ赤になってる。

まだオレンジの光が残るここでは、頬の赤さはごまかされて晴にはバレてないかもしれないけれど。





「好きな女が、自分のことを他の女に託してるのを知って、怒らねぇヤツはいないだろ?」





え?

心臓が一度大きく跳ねて鼓動が早くなっていく。



今、なんて言った?





「俺のためだとか思ったんだろ?お前はいつだって、自分より他人だよ。ま、俺はきっとお前のそういうところを好きになったんだろけど…」


「……え?」


「でも、もっと俺のこと欲しがれよ…」





その言葉の瞬間、晴の腕があたしを包む。



『……きだ』


“…好きだ”



あの言葉は聞き間違いじゃなかったんだって今、確信できた。


晴の頬が、あたしの頬に触れて、その頬にともる熱の存在に気が付いて、あたしの胸が熱く熱くなっていく。





「欲しいよ…欲しくてたまらないよ」





あたしの、必死に搾り出した震える声に、晴の腕の力が強くなる。

感じる晴の熱も増していく。



その熱も、その声も、その笑顔も、
この腕も、この鼓動も……



晴の全部が欲しくてたまらないよ。





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