【完】ヒミツの恋を君と。
興味深々だったこと見透かされて、声が裏返った。





「好きで持ってた訳じゃねぇって言ってんだろうが?あれは参考資料的なもんだ!」


「え?参考資料……?」




首を傾げるあたしに、店長は事の一部始終を話してくれた。





「最近お客さんも増えたから、バイトを1人増やそうと思っててね。だから晴に、あのBL漫画の主人公の男みたいなヤツを、街中でスカウトして来いって頼んだんだよ」


「へ?」




参考資料ってそう言う意味……。

店長の口から、BL漫画の真実を聞いて、体中の緊張感が一気に抜けていく感じがした。




良かった…。


同性愛に偏見がある方ではないと思うんだけど、今何故かあたしは明らかにホッとしていた。





「でも、晴にバイトのスカウトなんて出来るの?」





まだ出会って2週間も経ってないけど、晴はそういうのが明らかに苦手なんじゃないかなって思う。

人付き合い自体苦手そう。





「うん、やっぱり晴に勧誘は無理だった。でも、もういいんだ。今日新しいバイト決まったから」


「そうなんですか?」





店長の言葉にそう返しながら、晴を見上げると、驚いた顔をしてる。


晴もバイトが決まったこと、今知ったみたい。


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