【完】ヒミツの恋を君と。
晴を見上げて油断をしていたあたしの肩を店長がガシっと掴んだ。

ビクッと反応するあたしの体。




「イ、イ、イ、イケメン怖っ……」




気付けばそう本心を口にしながら、あたしはまた晴の後ろに身を隠した。

そんなあたしに店長が不思議そうに首を傾げる。





「桃佳ちゃん、イケメン怖いの?」


「ご、ごめんなさい。あたし、転校してくる前の学校では、眼鏡でボサボサのまとめ髪でオタクだったから、イケメン達からよく陰口叩かれたり、嫌がらせもされたりして……だから、イケメン見ると怖いって思っちゃうんです……」


「そうなんだ」





イケメン全員を同じ目で見るのは失礼だと分かってるけど、体は無条件に反応してしまう。





「桃佳ちゃんをイジメたそいつら酷い奴らだな。でもさ、なんで晴は大丈夫なの?晴もかなりのイケメンだと思うんだけど?だからうちで雇ってんだし」


「へっ!?」





ハッと我に帰って、晴を見上げる。

同時に振り向いた晴の顔が視界に入った瞬間、『晴もかなりのイケメン』って店長の言葉が脳裏を過ぎる。

つい条件反射で晴からパッと離れて後ずさりしてしまった。



な、なんであたし?

いやいや、今まで全然平気だったし!



そんな風に自分にツッコミを入れていると、いつの間にか晴は体ごとこちらを向いていた。





「あ…っと?えっ!?」





目の前の晴はものすごく不機嫌そうな顔をしてる。

そして、あたしに手を伸ばして来た。


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