【完】ヒミツの恋を君と。
「な、なに?晴??」





晴は無言のまま、左手であたしの肩を掴む。


何が起きてるのか分からなくて、顔を跳ね上げると、あたしを見下ろしてる晴と目が合った。


ジッと見つめられて、ドクンと心臓が跳ね上がる。

体がカチンと固まってしまった。





「今のお前の態度なに?ムカつくんだけど?」


「えっ、えっ!?で、でもっ……」




晴をイケメンと認定したから後ずさりしちゃったんだよ?

晴にとっては嬉しいことじゃないの?



それなのになんで晴が不機嫌なのかがよく分からない?

首を傾げて晴から視線を外したその時、今度は晴の右手が伸びてきた。




「でもじゃねぇよ」


「っ!?」





晴の右手はあたしのアゴを掴んでクイッと上に持ち上げた。

強制的に、上を向かされたあたしは、自然と晴と視線を絡めることとなって。




うわっ!?




さっきより近付いてる距離。

指の感触。

息すらもするのを忘れてしまう。





不機嫌そうに細められてるその目。

でも、とても綺麗で、吸い込まれそうになる──


カァッと頬が熱くなっていくのを感じた。





「目を逸らさずによく見ろよ。お前の良く知ってる男だろ?」


「あ……うっ!?」





なんかもう、こんな風に至近距離で見つめられると目なんて逸らせられないよ。

晴がどんなにイケメンと気付いても、その目からは視線を逸らせられない。

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