【完】ヒミツの恋を君と。
「今日のハルも“ツンツン”ぶり絶好調だね!」





トウヤさんの言葉に噴出しそうになった。


“ツンデレ”じゃなくて“ツンツン”ね。




でも、思う。

“デレ”てなくても“ツンツン”してても、ここ、Preciousにいる晴は楽しそう。





ふと、尾行したあの日のことを思い出した。

あの日の下校の時、学校の階段を1人で下ってた時の晴。

あの日見た表情は感情の欠片も感じなかった。





「ハルー、オムライス出来たよー」





店長が晴にニコッと笑いかけた。






あの日、階段を下ってた晴に笑いかける人は誰もいなかった。

多分ここは晴にとって特別の場所なんだ。





“あの日”まで、あたしにとっての特別の場所が、“春と春ちゃんの隣”だったように…。





カタっと音がして、目の前にオムライスが置かれた。





「お待たせ」





晴がそう言いながら、ライスの上でまだオムレツ状態の玉子にナイフを入れる。

途端、半熟のオムレツがトロッと広がってライスを覆う。





「わぁっ!」





そうする晴の姿がかっこよくて、不覚にも思わず見惚れてしまった。

そして今度は晴がオムライスにホワイトソースを掛ける。





「これ、俺がおごるわ」


「えっ!?なんで!?どうして?」





友達におごるなんて言われたのは初めてだったから、驚きで片言になってしまった。



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