【完】ヒミツの恋を君と。
「ぺったんこだから、バレる心配ないしね!」


「………」





店長の大きな声が店中に響いて、その後、店内は音ひとつなくなる。


トウヤさんと、リツキさんと、晴のスプーンの動きも止まった。





「ぺっ……たん……こ?」


「あはは……ほら──」


「ひゃっ!?」





物心ついてから、誰にも……いや、親にすら触れたことのない場所に、違和感を覚えて、恐る恐る自分のおっぱ……胸を見下ろす。

そこには店長の右手。





ひゃぁぁっぁっぁぁああぁ──☆○%*△!!!





心では発叫してるけど、声も出ないし、動けない。

店長は悪びれる様子もなく、あたしの胸から手を離して3人を振り向いた。





「おーいみんな覚えとけ。桃佳ちゃんの源氏名は“モカ”に決めたから。うちは基本本名で出てもらってるけど、桃佳ちゃんはそういうわけにはいかないからな」





と、店長が言えば




「“ももか”のもを取って“モカ”ね」




と、トウヤさんが反応し。




「店長にしてはいい名前を思いつきましたね。中性的な感じでいいです」




と、リツキさんがサラッと答える。



あたしはというと、自分の名前のことなのに、全然頭に入ってこなくて、固まったままだった。






「だろ?覚えやすいし、サテンにぴったりの名前だし。俺って天才?」





店長がオムライスを食べながら満足気にそう言う。



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