【完】ヒミツの恋を君と。
「ハル、俺はモカに『あーん』してたのに、なんでお前が食うんだ?」


「…腹減ってたんで」


「ハルにはでっかいオムライス作ってやったろ?」


「…成長期なもんで」





くくっと堪えるように笑ってる店長と、そんな店長からバツが悪そうに目線を逸らす晴。


なにが起こったのか分からないまま、そんな2人のやり取りを見つめてたあたし。



そっか、晴はおなかが空いてた?



……どうしてあたしはちょっとがっかりしてるんだろ?



そうだよ!どんな理由であれ良かったよ!

晴が食いしん坊で助かったんだから!



気付けば、晴の制服をギュッと掴んでた。




晴が振り向く。

その顔が不機嫌そう。



あれ?怒ってる???




「お前さっき『バイト断りに来た』って言わなかった?こんな短時間で気持ち変えるって何なの?」


「……ご、ごめんなさい」





そうだった、確かに晴には断りに来たって言ってたんだった。





「店長に上手く言い包められたんだろ?」


「酷いなハル。言い包めるなんてシテナイヨーー」


「店長、棒読み、はなはだしいです…」


「桃佳ちゃんって簡単に引っ掛かりそうだよね~」





晴の言葉に、店長、リツキさん、トウヤさんが次々にツッコむけど、晴はその表情を変えない。


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