【完】ヒミツの恋を君と。
「今日はクリームパン買ってきたよ」


「お前さ、もう俺の分は買ってこなくていいよ」


「え?」


「1人暮らしなんだろ?それ買ってる金、お前の親が、お前の食のために用意してくれたお金だろ?無駄遣いすんな」


「……」


「あっ!お前パンひとつしか買ってねぇじゃねぇか!食わないつもりだったのかよ!そんなんじゃ倒れるだろーが!毎日俺のパンなんか買ってるから、仕送り使い込んだんだろ?」





一気に言い切った晴をジッと見つめる。





「……晴って小うるさい親戚のおじさんみたいだね」


「あ゛ぁ?」





あ、怒らせちゃった。





「うわっ!ご、ご、ごめんなさい!違うよ、仕送りを使い込んだんじゃなくて、食欲がなかっただけだよ!」





今まさにクリームパンをあたしの口にねじ込もうとしてた晴の手を止めるために必死に叫んだ。


晴の手が止まる。


もう……あたしへの女の子扱いはどこへ行ったんだろう?





「食欲ないってなんでだよ?」


「今日からバイトだと思ったら緊張しちゃって、昨日あんまり寝れなかったの」





昨日晴とバイバイして、部屋でひとりになったら、なんか一気に不安が込み上げてきて。





初めてのバイト。

なのに周りはあたしの苦手なイケメンばっかりで、その上、その内の2人はやたらとスキンシップが多いし。




店長にいたっては、セクハラと言うか、もう痴漢行為と言っても過言でないことをしてくるし…。(しかも堂々と)


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