ワンだふる·ワールド 2 ~逞しきワンコ~ 《TABOO》

大いに堪能して近くのバーへと移る頃には、酔いも回って二人ともハイテンション。

が、バーに入るなり口とお腹を押さえて、フラフラとトイレへ直行するグロッキーなハチ。

酔った上に慣れない辛料理でどうやら腹を下したらしい。


仕方なく私はカウンターで待つことに…。

ふとカウンターの端から見渡すと、アウトローなワンコ達がグラスを傾けている。


渋く寡黙に飲むハスキー


大声で騒ぎたてる悪童ドーベルマンと土佐犬。



無防備でもなかったろうが、気づけばドーベルマンと土佐犬に脇を固められていた。


「ねぇ、一人?俺らと遊ばねぇ?」

柄が悪い。
目つきも態度も悪い。
しかも、完全に戦闘態勢だ。


「え!?あの…彼氏と一緒なので…」

丁重に断ったが、相手は闘犬。
一度噛みついたら、離そうとはしない。


「どこ?彼氏どこ?…サッサと行こうよ。」

「や、今トイレに行ってて…」

「いいから黙って付いてこいよ。」

と問答無用に手首を掴むドーベルマン。


――ハチ!?…まだ?…マジピンチなんだけど…



恐怖に顔を背けた瞬間、掴んでいた手から力が抜ける。


あれ?と顔を上げると、ドーベルマンの手首を捻り上げるナイスガイ、ハスキー。


彼の睨みに闘犬2匹は捨て台詞を吐きながら、シッポを巻いて逃げていく。



「もう、大丈夫だ」

盾となってくれた頼もしい背中は、震える私の心を一瞬で温かく包みこんだ。





――ごめん、ハチ



――帰巣本能があるんだから、一人でも帰れるでしょ?






END
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

今度はあなたからプロポーズして

総文字数/83,823

恋愛(純愛)202ページ

表紙を見る
ワンだふる・ワールド ~飼育系女子の憂鬱な1週間

総文字数/131,729

恋愛(純愛)153ページ

表紙を見る
ワンだふる·ワールド12~ワンコの誓い~《TABOO》

総文字数/998

恋愛(キケン・ダーク)3ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop