好きって言うまで離さねぇ。
私は昨日、冬哉が『好きだ』って自覚したわけで。
いくら結婚しろって言われてる仲でも……目も合わせてくれないと不安になる。
私の気持ちは冬哉によって簡単に動いてしまうんだ。
「……それを俺に聞くか?」
ちょっと呆れたような冬哉の声。
───え……?
聞いちゃダメなの?
「………かい」
心なしか照れた様子の冬哉が言葉を発した。
でも、その声は消え入りそうなくらい小さくて。
何を言ってるか聞こえない。
それに電車の音だって大きくて、かき消されてる。
「……なんて言ったの?」