好きって言うまで離さねぇ。
───中3の秋。
受験のため両親が無理やり、家庭教師をつけた。
家庭教師なんかいらない。
その頃からわりと要領はよくて、頭も悪くなかったから。
だけど、心配性な両親があまりにもしつこかったから承諾した。
まあ、受験生だから勉強するに越したことはない。
そんな感じでうちにやってきた家庭教師が、橘京香だった。
優しく分かりやすい先生で、俺の成績はさらに上がった。
『冬哉くんは、頭がいいのねぇ』
そう言って褒められるとすごく嬉しかったっけな。