好きって言うまで離さねぇ。
「冬哉様、ボーっとなさってましたが……大丈夫ですか?」
目の前で心配そうな顔をした佐藤がいた。
今日もいつもと変わらずスーツをビシッと着こなしている。
「……何でもねぇから、平気だ」
俺はそれだけ言うと、先に歩きだして車に乗り込んだ。
俺が中3のとき、京香は大学2年だった。
受験も無事終わって、京香は家庭教師を辞めた。
……だけど。
うちでメイドとして働くことになってしまった。
誰も見てないところでは俺にキスを迫り、
それ以上のことも───……
……でも、表向きは俺が無理やり襲ったとされてしまった。