好きって言うまで離さねぇ。
電話口から聞こえてきたお母さんのハイテンションな声。
坂井が用件を言うと、間髪入れずにお母さんが言った。
それはもう反射的に、考えてもないでしょ、ってくらい素早く。
『もちろんいいわよ~!冬哉くんによろしくね♪』
───ブチッ
お母さんは楽しそうに、音符までつけて電話を切った。
「だそうですよ、冬哉様。いかがなさいますか?」
最後にはスピーカーにして、坂井はケータイを冬哉に向けた。
「じゃあ……駅までお願いしていいですか?」
「かしこまりました」
坂井はやっとエンジンを掛けた。