ナツメ
3月19日
3月19日、火曜日
ナツメ。
今日は天気がいいので、部屋の掃除をすることにしました。
思いきって、央介さんの仕事部屋のドアを開けたのです。
壁いっぱいの大きな本棚。
古いレコードプレイヤー。
木製の重厚なスピーカー。
ずっと放っておいたので、あちこちに、埃が積もってしまっていました。
湿っぽいような、埃っぽいような、異様な空気が蟠っていました。
まるでこの世界から、この部屋だけが、取り残されてしまったように。
いったい、何冊の本があるのでしょう。
わたしには、見当もつきません。
古いレコードも、箱に沢山詰め込まれていました。
この小さな書斎のことを、いつも仕事部屋と呼んで大切にしていた央介さん。
勝手に入ると、あの人はいつも怒ったけれど、今は仕方がないわよね。