ナツメ
ああ、ナツメ。
生きているということは、きっと、こうして。
どうにもならない、溶けきらない、化石になって、こびりついてしまった記憶を、孤独に積み重ねていくことなのでしょうか。
それならば、もう。
ナツメ。
わたしにはその価値が見出だせません。
だって、ナツメ、わたしには。
いったいこれ以上の、何が残っているというのでしょう。
この寂しさと、悲しみと。
真っ暗い闇のような、叶わない願いの他には。