ナツメ

3月4日





3月4日、月曜日



ナツメ。


今日、病院の帰りに、この日記帳を買いました。
いつもの本屋さんに立ち寄り、文庫本を何冊か買った後、この日記帳を見つけたのです。

艶々した、濃いえんじ色に、金の枠が施された表紙。
生成り色のガサガサした紙に、淡いグリーンのライン。

新しいのに古びた雰囲気があって、一目で気に入ってしまいました。



ナツメ。


新しいノートにペンを走らせるのって、何だかとっても素敵。

真新しくまっさらな白に、手を加えて汚してしまうような、この背徳に似た感じ。
長い間忘れていたけれど、わたしはこの感覚がとっても好きでした。


そういえばナツメも、昔、同じようなことを言っていましたね。
お洋服も、靴もバッグも、ナツメは新しいピカピカのものが、よく似合っていました。
それを、少しずつ少しずつ自分の匂いに染めていってしまう事。
あなたはまるで、その為だけに生きているようでもありました。








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