ナツメ
そうして、ナツメ。
覚えていますか?
あなたはその日、わたしに紫陽花の花束をプレゼントしてくれました。
淡いピンクの混じった、薄いブルーの小さな花達。
その小さな四角形は、いつしか濃い紫になり、それから徐々に、白に近いグリーンへと染まっていきました。
その色の変化を追いながら。
移り気な季節も、二人が側にいられますようにと、あなたは願ってくれているのだと、わたしは思いました。
窓辺に飾った、その華やかな贈り物を。
央介さんが飽きもせず、しばらく眺めていたのを、よく覚えています。
ナツメ。
けれども。
今思えば、あの花束は。
あなたからの、言葉なき警告だったのかもしれませんね。