ナツメ
4月25日
4月25日、木曜日
ナツメ。
今日は少し、昔の話をしようと思います。
わたしがまだ、小さい、小さい子供だった頃のお話。
ナツメ。
わたしは昔、あなたによく似た女の人を知っていました。
長くウェーブのかかった栗色の髪。
淡い桜色のブラウス。
白いレースのスカート。
抜けるような白い肌。
細い首筋。
艶のある唇。
縁取りの濃い、大きな瞳。
その女性の名前は、雪菜さんといいました。
出会った頃の彼女はいつも優しく、甘いお菓子や、フルーツの沢山入ったケーキを食べさせてくれました。
全て、雪菜さんが作ってくれたものです。
わたしは父に手を引かれて、月に一度か二度、雪菜さんのお家へ遊びに行きました。
雪菜さんのお家には、薔薇が沢山植えてあって、その、よく手入れのされたお庭を眺めながら、ケーキを食べていると、まるで、お姫様にでもなったような気分でした。
まだ、わたしが、小学生になったばかりの頃のことです。