ナツメ
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ナツメ。
あなたのお兄さんの側に居て、あの人の体温を近くに感じていると。
まるで、ほんの少し。
ほんの少しだけれど。
わたしがここに居ることを。
肯定してもらえるような、気持ちになります。
それは、けれど、いけないことのようで。
なんだかやっぱり、恐縮してしまうのです。
ナツメ。
明日もまた、とても、晴れるようなので、央介さんの仕事部屋を掃除するつもりです。
カビ臭い本を、日向に干して。
本棚を丁寧に、拭き掃除して。
あの人の大切にしていたものを、わたしも同じように大切にするつもりです。
やっぱりそうしたくなる、こんな気持ちは。
ナツメ。
懺悔のようなものなのかしら。