月宮天子―がっくうてんし―
海は静かに目を閉じ、口が微かに動き、ぶつぶつ呟いている。そして、おもむろに右手で一の心臓の辺りを触った。
その直後、一の動きが止まったのだ。
海が触れた辺りが綺麗な青に煌いた。それはドンドン強い光になる。
すると、ふわっと一の胸に青い玉が浮かび上がった。
愛子が、え? と思った瞬間、なんと海の手の平に吸い込まれたのだ。
右手から二の腕、肩と青い光は海の体内を移動している。そして、海の心臓辺りでひと際輝き……光は消えていった。
「カ、カイ? 変身しそう?」
「いや、なんか……落ち着いたみたいだ。でも」
一に噛み付かれた左手の傷が見る間に塞がっていく。おそらく、青い玉の効果だろう。
同時に一も人間の姿に戻り、倒れ込むところを海が抱きとめた。
「一君……生きてる?」
「ああ。大丈夫。ちゃんと息をしてるし、心臓も動いてる……よかった」
海は一を胸に耳を当て、愛子の質問に答えた。
その声は、本当に嬉しそうで……。愛子も腰が抜けたように、その場に座り込んだのだった。
~4章につづく~
その直後、一の動きが止まったのだ。
海が触れた辺りが綺麗な青に煌いた。それはドンドン強い光になる。
すると、ふわっと一の胸に青い玉が浮かび上がった。
愛子が、え? と思った瞬間、なんと海の手の平に吸い込まれたのだ。
右手から二の腕、肩と青い光は海の体内を移動している。そして、海の心臓辺りでひと際輝き……光は消えていった。
「カ、カイ? 変身しそう?」
「いや、なんか……落ち着いたみたいだ。でも」
一に噛み付かれた左手の傷が見る間に塞がっていく。おそらく、青い玉の効果だろう。
同時に一も人間の姿に戻り、倒れ込むところを海が抱きとめた。
「一君……生きてる?」
「ああ。大丈夫。ちゃんと息をしてるし、心臓も動いてる……よかった」
海は一を胸に耳を当て、愛子の質問に答えた。
その声は、本当に嬉しそうで……。愛子も腰が抜けたように、その場に座り込んだのだった。
~4章につづく~