月宮天子―がっくうてんし―
「大丈夫だよ、愛ちゃん。害はなさそうだし。でも、今度は青か……俺って青色に変身するのかな? 緑よりはいいよね」
「光は綺麗なサファイヤブルーだったよね。でも、どっちがカッコいいかは、変身しないとわかんないかも。してみる?」
何気なく、愛子は海の腕を取って上目遣いに見た。それだけで、海の瞳に動揺が走る。
ついつい調子に乗って、姉の直子よりは小さいけどCカップの胸を押し付けてみたりする。
「そう言えば……愛ちゃんが、俺のこと好きとか言ってる声が聞こえたんだけど……。アレって幻聴かな? そんなこと言った?」
愛子は、慌てて海を突き放した。
「い、言ってない。全然、言ってないわよ! 耳おかしいんじゃないの? と、ところで、どうすんの? この人」
都合が悪くなったため、愛子は唐突に話を変える。
「う~ん。怪我は酷くないみたいなんだけど、意識が戻らないんだよ。佐々木警部に、例の女の子……月輪さんに連絡してくれるよう頼んでるんだけど」
ふたりが襖を開けて覗き込んだのは客間――海の部屋である。部屋の中央に布団が敷かれ、ひとりの男性が横たわっていた。
光崎蓮だ。
海たちが引き上げる直前、東綾辺駅までの途中で倒れている蓮を発見した。佐々木警部に連絡を取り、一旦病院に運んだものの……すぐに意識を取り戻し、彼は病院を飛び出した。
ところが、心配してアレコレ尋ねる愛子たちの目の前で再び倒れ――現在に至るのである。
「天泉って言ってたかな。あのヒグマにやられたんだと思うけど……」
蓮はパンダ斉藤から取り出した『黄玉』を持っていなかった。あのヒグマに取られたのかもしれない。
「光は綺麗なサファイヤブルーだったよね。でも、どっちがカッコいいかは、変身しないとわかんないかも。してみる?」
何気なく、愛子は海の腕を取って上目遣いに見た。それだけで、海の瞳に動揺が走る。
ついつい調子に乗って、姉の直子よりは小さいけどCカップの胸を押し付けてみたりする。
「そう言えば……愛ちゃんが、俺のこと好きとか言ってる声が聞こえたんだけど……。アレって幻聴かな? そんなこと言った?」
愛子は、慌てて海を突き放した。
「い、言ってない。全然、言ってないわよ! 耳おかしいんじゃないの? と、ところで、どうすんの? この人」
都合が悪くなったため、愛子は唐突に話を変える。
「う~ん。怪我は酷くないみたいなんだけど、意識が戻らないんだよ。佐々木警部に、例の女の子……月輪さんに連絡してくれるよう頼んでるんだけど」
ふたりが襖を開けて覗き込んだのは客間――海の部屋である。部屋の中央に布団が敷かれ、ひとりの男性が横たわっていた。
光崎蓮だ。
海たちが引き上げる直前、東綾辺駅までの途中で倒れている蓮を発見した。佐々木警部に連絡を取り、一旦病院に運んだものの……すぐに意識を取り戻し、彼は病院を飛び出した。
ところが、心配してアレコレ尋ねる愛子たちの目の前で再び倒れ――現在に至るのである。
「天泉って言ってたかな。あのヒグマにやられたんだと思うけど……」
蓮はパンダ斉藤から取り出した『黄玉』を持っていなかった。あのヒグマに取られたのかもしれない。