月宮天子―がっくうてんし―
月宮天子は、宝玉を『心清き処女』の一族に託し、ひとつのことを定めた。
『心清き処女』の血脈が受け継がれるように、一族には誕生する子供は女子のみ。彼女らが宝玉を守り続ける限り、月宮天子の名において瀬戸内の息災を約束する、と。
――神在月の満月に五個の宝玉を月に捧げよ。
さもなくば、月島は沈み、瀬戸の海に大いなる災いが降り掛かる――
月宮天子は約束が守られていることを、年に一度、“神在月の満月の夜”確認に来ると告げ、そして、もうひとつの言葉を残した。
――結界弱まりしとき、月の一族の男子と共に、我もまた産まれ来る。
宝玉を持ちても獣にならず、我は月宮天子なり――
『心清き処女』の血脈が受け継がれるように、一族には誕生する子供は女子のみ。彼女らが宝玉を守り続ける限り、月宮天子の名において瀬戸内の息災を約束する、と。
――神在月の満月に五個の宝玉を月に捧げよ。
さもなくば、月島は沈み、瀬戸の海に大いなる災いが降り掛かる――
月宮天子は約束が守られていることを、年に一度、“神在月の満月の夜”確認に来ると告げ、そして、もうひとつの言葉を残した。
――結界弱まりしとき、月の一族の男子と共に、我もまた産まれ来る。
宝玉を持ちても獣にならず、我は月宮天子なり――