部長とあたしの10日間
月曜 17:00
進まない時計を見つめながらやきもきしていたあたしは、ようやく針が終業時刻を指したと同時に立ち上がると、自分のデスクを後にした。


こちらに気付いて視線を送ってくる男性社員たちに適当に愛想を振り撒きつつ、あたしは目的の場所に向かう。


そしてあたしが配属されている経理部と同フロアの南側にある、企画部の一番奥のデスクの前で足を止めた。


「少しだけ、お時間いただけませんか」


できる限り神妙な面持ちでそう言うと。
山積みになった書類の向こうにいた男は、あたしにちらりと目を向けた。


彼の名前は小泉…、なんだっけ。
名前はともかくとして、私が勤務する商社の企画部の部長。


40歳そこそこでそんなポストに就いてることから考えて、間違いなく優秀なんだろうけど。
あたしから見れば、ただのオジサン。


あ、でも。
経理部の部長より、だいぶ男前なのは確かだ。
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