部長とあたしの10日間
「未練があるくせに、付き合いなんかでうちの部の飲み会に参加するからああいう場面を見るハメになるんだ」


部長の優しさは、そんな風に素っ気ない言い方をしても隠しきれない。
あたしの胸はまた高鳴っていく。


「うちの連中に強引に誘われて困ってたのなら、どうして俺に言わなかった。
いつもは男を利用してるくせに、何でこういうときだけ自分で解決しようとするんだ」


ああもう、部長ってば。
どうしてそんなにあたしの弱いところをピンポイントで突いてくるのよ。


「さっきの様子だと、まだ当分は和田のこと…」


「───好きです」


気持ちが高ぶって、思わず本音が口をついた。
部長が好き。
こんなに好きになってしまったら、これ以上黙ってるなんて無理だ。


「ほら見ろ。
引きずってるくせに強がるから…」


「───部長が好きです」


ダメだ。
もう抑えが効かない。
あたしはそっと部長の手を掴んだ。
< 101 / 146 >

この作品をシェア

pagetop