部長とあたしの10日間
部長はしばらく黙りこんだかと思うと、ようやくあたしの言葉が脳まで達したのか、突然後ずさる。


「───ちょっと待て。
お前が好きなのは和田だよな」


いつもの落ち着き払った態度からは考えられない狼狽えように、こっちが戸惑う。


「ごまかさないで下さい…。
あたしが部長を気になってること、少しは気付いてましたよね?」


「───は?」


目を白黒させるその様子から、信じがたいけれどすっとぼけてるわけではないようだ。


「だって昨日、あたし言ったじゃないですか。
部長になら何をされてもいいって」


部長の目がみるみる丸くなっていく。


「もしかして。
冗談だと思ってたんですか?」


「冗談…、じゃなかったのか?」
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