部長とあたしの10日間
「───葛城の能力は認めてるが、ただの部下だ。
それ以上でも以下でもない」


その言葉にほんの少しホッとしたのも束の間、


「それはお前も同じだ」


部長はご丁寧にも、いらない情報を付け加えてくれる。
現段階であたしが対象外なのは痛いほど分かってる。
だけど、本当に葛城主任と何でもないならあたしが恋人に立候補したっていいはずなのに。


「あたしがそれ以上になる可能性はないですか」


「ないだろ。
いくつ歳が離れてると思ってるんだ」


大抵の男を意のままに操れる上目遣いでせがんでも、コイツにはちっとも効き目はない。


ていうか、そんな答えが聞きたいんじゃない。
今どき恋愛するのに歳の差を持ち出すヤツなんていない。


「大丈夫です。
責任とれなんて言いませんから」


ダメもとで抵抗してみるものの、


「それはそれで問題だろ」


きっぱり一蹴されてしまう。
じゃあどうすれば良いのよ。
責任を取ってくれるとでも言うのだろうか。
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