部長とあたしの10日間
「今日はごちそうさまでした」
結局、後藤さんと部長(の財布)に奢られる形になったあたしは、店を出ながらぺこりと頭を下げる。
「いや。
こっちこそ、むしろ迷惑かけちゃって…」
後藤さんは肩に抱えた部長を一瞥すると、大きな溜め息をついた。
全くこの男は。
甥っ子に迷惑をかけて自分だけ気持ち良さそうに熟睡してるなんて、本当ありえない。
とは言え。
正当な理由があってこんなに部長と引っ付ける機会はそうそうない。
ふらつく体を支える振りをして部長に密着しつつ、もう少しこのままでいてもいいな、なんて考えながらタクシーを探す。
飲み会のシーズンだからか、なかなか空車を見つけられずにいたとき、不意に後藤さんのスマホの着信音が鳴った。
「ちょっとごめん」
後藤さんはスマホを取り出して暫く電話の相手とやりとりしてたかと思うと、
「ごめん、櫻井さん。
急に呼び出されて、このまますぐ取引先のところに向かわなきゃならなくなった」
と、申し訳なさそうに言った。
「こんな時間に?
何かトラブルですか?」
「いや、飲みに付き合わされるだけなんだけど、俺の代わりもいないし…」
結局、後藤さんと部長(の財布)に奢られる形になったあたしは、店を出ながらぺこりと頭を下げる。
「いや。
こっちこそ、むしろ迷惑かけちゃって…」
後藤さんは肩に抱えた部長を一瞥すると、大きな溜め息をついた。
全くこの男は。
甥っ子に迷惑をかけて自分だけ気持ち良さそうに熟睡してるなんて、本当ありえない。
とは言え。
正当な理由があってこんなに部長と引っ付ける機会はそうそうない。
ふらつく体を支える振りをして部長に密着しつつ、もう少しこのままでいてもいいな、なんて考えながらタクシーを探す。
飲み会のシーズンだからか、なかなか空車を見つけられずにいたとき、不意に後藤さんのスマホの着信音が鳴った。
「ちょっとごめん」
後藤さんはスマホを取り出して暫く電話の相手とやりとりしてたかと思うと、
「ごめん、櫻井さん。
急に呼び出されて、このまますぐ取引先のところに向かわなきゃならなくなった」
と、申し訳なさそうに言った。
「こんな時間に?
何かトラブルですか?」
「いや、飲みに付き合わされるだけなんだけど、俺の代わりもいないし…」