部長とあたしの10日間
「───あたしは全然アリだけどな、小泉部長」
昼休みの社食で。
同期の河合沙織の予想だにしなかった発言に、あたしは危うく箸を落としそうになる。
「は?」
顔をしかめて聞き返すあたしに、沙織は指を折りながら数えるように言う。
「確かに歳はちょっと上だけど、顔はいいし、背も高いし、仕事できるし。
人望だって、頼りがいだってありそうじゃない」
沙織は入社式で隣の席になったのをきっかけに意気投合して以来の仲で、あたしが社内で唯一、素を見せられる相手。
せっかくあの男がいかに許せないかを切々と語ってあげたというのに、そんな的外れの言葉が返ってきて面食らう。
沙織の男を見る目は節穴なのだろうか。
昼休みの社食で。
同期の河合沙織の予想だにしなかった発言に、あたしは危うく箸を落としそうになる。
「は?」
顔をしかめて聞き返すあたしに、沙織は指を折りながら数えるように言う。
「確かに歳はちょっと上だけど、顔はいいし、背も高いし、仕事できるし。
人望だって、頼りがいだってありそうじゃない」
沙織は入社式で隣の席になったのをきっかけに意気投合して以来の仲で、あたしが社内で唯一、素を見せられる相手。
せっかくあの男がいかに許せないかを切々と語ってあげたというのに、そんな的外れの言葉が返ってきて面食らう。
沙織の男を見る目は節穴なのだろうか。