部長とあたしの10日間
今日の仕事は片付いたし、待ち合わせまで少し時間があったから、ゆっくり化粧直しして完璧な状態でデートに臨むつもりだったのに。
「櫻井さん。
悪いけど、これ今日中にお願い」
立ち上がろうとしたあたしのデスクに、先輩の田邉さんが書類の束を置いた。
隣の席の彼女は企画部の後藤さんに好意を持っているようで、彼と親しいあたしが気に入らないのか、度々こういう無茶ぶりをしてくる。
「えっと…」
「この後、何か大事な用事でも?」
もしかしたら、今朝あたしが後藤さんに食事に誘われたのをどこかで見ていて、誤解しているのかもしれない。
だけど、後藤さんの誘いを断ったのがバレて逆恨みされても面倒くさいし、振られた仕事を出来ないと断るのはもっと嫌だった。
あたしはこう見えて仕事が早い。
おしゃべりばっかりの田邉さんの倍以上のスピードで仕事をこなす自信だってある。
「大丈夫です」
絶対間に合わせてやる。
あたしは書類を手に取ると微笑んで言った。
「櫻井さん。
悪いけど、これ今日中にお願い」
立ち上がろうとしたあたしのデスクに、先輩の田邉さんが書類の束を置いた。
隣の席の彼女は企画部の後藤さんに好意を持っているようで、彼と親しいあたしが気に入らないのか、度々こういう無茶ぶりをしてくる。
「えっと…」
「この後、何か大事な用事でも?」
もしかしたら、今朝あたしが後藤さんに食事に誘われたのをどこかで見ていて、誤解しているのかもしれない。
だけど、後藤さんの誘いを断ったのがバレて逆恨みされても面倒くさいし、振られた仕事を出来ないと断るのはもっと嫌だった。
あたしはこう見えて仕事が早い。
おしゃべりばっかりの田邉さんの倍以上のスピードで仕事をこなす自信だってある。
「大丈夫です」
絶対間に合わせてやる。
あたしは書類を手に取ると微笑んで言った。