部長とあたしの10日間
「ちょ、ちょっと待て。
そんなこと言ったか…」


部長はいつもの澄ました態度からは考えられないくらい取り乱す。


「言ったじゃないですか。
あたしのこと外見だけとか、あたしみたいな女がいるから葛城主任が迷惑するとか。
ひどいことばっかり羅列して、散々傷付けたじゃないですか」


部長を睨んで八つ当たりしても無駄だった。
口に出すと自分の欠点をとうとう認めてしまったようで、なおさら悲しくなって次から次から涙が溢れてくる。


「分かった。
俺が悪かったから、とにかく泣き止んでくれ」


部長は慌てて内ポケットからハンカチを取り出すと、泣きじゃくるあたしの顔に押し当てる。
そして、まるで子供をなだめるようにあたしの頭にそっと手を置いた。
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